AIに営業メールを書かせると、どこにでも送れそうな無難な文章になってしまう。——これは、AIでメールを作成する際によくある悩みです。
営業メールの下書きはAIで効率よく作成できますが、内容の事実確認や送信前の調整は人間が行う必要があります。
ここでは、AIを活用したメール作成の5ステップ、シーン別のプロンプト例、AIっぽさを消すためのポイントを順を追って解説します。
営業メールにAIを使うと何が変わるのか
AIを導入すれば、ゼロから文章を考える必要がなくなります。
下書き作成の時間を大幅に短縮し、「送信先に合わせた文面の調整」に時間を使えるようになります。
下書き時間を短縮し、1社ごとの打ち分けを可能に
メールを一から作成する場合、件名・挨拶・本文・結びまで考える必要があります。
AIに相手の業種や接点などの情報を渡せば、下書きを短時間で作成できます。
あとは人が内容を確認し、微調整するだけで完成します。
下書きが素早く作れれば、定型文の宛名だけを変えて一斉送信するような対応から脱却できます。
展示会での会話や相手のWebサイトで見かけた取り組みを1行添えるだけでも、定型文とは一味違う印象を与えられます。
AIが得意な作業・人が担当すべき作業
AIは事実や情報の正しさを保証することはできません。
最終判断は人が行う必要があります。
次のように担当を分けて作業しましょう。
| 作業 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 下書きの作成 | AI | 定型パターンがあり、作成速度が重要になるため |
| 言い回しのアイデア出し | AI | 複数の表現案を一度に出して比較・検討できるため |
| 相手情報の整理・選択 | 人 | 相手との関係性によって記載すべき内容が変わるため |
| 事実・数値の確認 | 人 | AIが存在しない実績や機能を記載してしまう恐れがあるため |
| 送信前の推敲 | 人(ツール補助可) | 適切な敬語や温度感は相手との距離感によって変わるため |
AIで営業メールを作る5ステップ

メール作成は「目的設定」「相手情報の整理」「下書き作成」「推敲」「効果計測・改善」の5つの手順で進めます。
返信の獲得、資料の閲覧、商談設定など、求めるアクションは1通につき1つだけに絞ります。
目的が複数あると、AIがそれぞれを盛り込もうとして、何をしてほしいメールなのかが伝わりにくくなります。
AIが出力する下書きの精度は、渡す情報の具体性に大きく左右されます。
以下の4点を準備しましょう。
- 相手の会社名・業種・担当者の立場
- 過去の接点(展示会、問い合わせ、紹介など)
- 相手が抱えていると想定される課題とその根拠
- 自社で提供できる具体素材(事例、資料、無料トライアルなど)
※根拠のない課題を入力するとAIが誤った前提で書いてしまうため、不明な項目は空欄のまま渡しましょう。
整理した情報をAIに渡し、下書きを出力します。
文字数の上限や使ってほしくない表現をあわせて指定すると、手直しがスムーズになります。
生成された文面はそのまま送らず、必ず目を通します。
「社名や数値の誤りがないか」「未実装の機能や実績が書かれていないか」「相手との距離感に合った表現か」を確認します。
送信後は、返信があったメールと無かったメールを比較します。
反応の良かったメールで使った件名や冒頭表現をプロンプトに反映し、次回以降の文面改善に活かします。
シーン別:営業メール作成のプロンプト例
共通の土台となるプロンプトを用意し、シーンに応じた情報を付け足して使います。
共通の土台となるプロンプト
以下のフォーマットを基本とし、【 】の部分を埋めて使用します。
共通の土台プロンプト
新規アポイントを獲得したい場合
接点のない相手には、事前のリサーチ内容を冒頭に示します。
「これまでの接点」欄にWebサイトやプレスリリースで確認した情報を記載しましょう。
下記のプロンプトを「共通の土台プロンプト」に追加して利用してください。
追加するプロンプト例①
展示会や商談後にお礼・フォローを送る場合
会話した内容を具体的に1点添えることで、他社のメールと差をつけられます。
追加するプロンプト例②
資料送付後の追客をする場合
催促する印象を避け、理解を深めるための補足情報を案内します。
追加するプロンプト例③
休眠・失注顧客へ再連絡する場合
連絡が空いた相手には、前回からの変化点を冒頭に書きます。
追加するプロンプト例④
受け取ったメールに返信する場合
相手からのメールを貼り付け、自社の方針だけをシンプルに伝えます。
追加するプロンプト例⑤
AIが書いた文章を「読まれるメール」に整えるポイント
AIで作ったメールは、定型的な前置きや曖昧な言い回し、長すぎる本文が重なると、読み飛ばされやすくなります。
送信前に以下の4点をチェックしましょう。
不要な定型句や曖昧な表現を削る
「貴社のますますのご発展をお慶び申し上げます」のように、本題に直接関係しない定型的な挨拶を省くと、要件が伝わりやすくなります。
根拠を示せない「〜が期待されます」「〜かもしれません」といった曖昧な表現は、具体的な事実に置き換えるか、文章ごと削ります。
不自然な敬語を正す
「拝見させていただきました」→「拝見しました」のように、過剰な敬語は簡潔な表現に直します。
逆に、何度かやり取りしている相手に堅苦しすぎる敬語を使うと不自然な距離感が生まれるため、やり取りの雰囲気に合わせて調整します。
冒頭2文で「なぜ連絡したか」を明確にする
メールを開いた後、読み進めてもらえるかは冒頭部分が重要です。
1文目に連絡した理由、2文目に相手にとっての要件を配置し、自社紹介は名乗る程度にとどめましょう。
要点を絞り、求めるアクションを1つにする
スマホで開いたときに、できるだけ少ないスクロールで内容と依頼を確認できる長さにします。
「資料確認」と「日程調整」の両方を求めたい場合は、一方は次の連絡に回します。
修正のBefore / After 例
修正前(AIの下書きそのまま)
突然のご連絡失礼いたします。
株式会社〇〇の山田と申します。
貴社のますますのご発展をお慶び申し上げます。
この度は、弊社のサービスが貴社の業務効率化に大きく貢献できるのではないかと考え、ご連絡させていただきました。
ご多忙のところ恐縮ですが、ぜひ一度資料をご確認いただき、ご都合のよい日程をお知らせいただけますと幸いです。
修正後
突然のご連絡失礼いたします。
株式会社〇〇の山田と申します。
貴社が9月に発表した物流拠点の増設を拝見し、ご連絡しました。
弊社では、複数拠点の出荷伝票確認を効率化した倉庫会社の事例があります。
ご関心があれば、15分ほど事例をご紹介できませんか。

修正後は、連絡理由、提供できる事例、依頼の3要素に絞り、求めるアクションも日程調整の1点にまとめています。
修正作業自体をAIにサポートさせる
修正作業にもAIを活用できますが、対話型AIに文章の修正を依頼すると、どこが修正されたのか把握しにくくなることがあります。
Langsmith Cowriterをの提案機能を利用すると、修正案の採用・不採用を個別に選びながら文章を整えられます。

AIレビューも受けられるため、送信前の最終チェックに使えます。
AI営業メール作成時の注意点
送信前の確認を怠るとトラブルに繋がるリスクがあります。
事実確認せず、誤った情報を送ってしまう
AIは、提示していない実績や数値を補って文章を生成することがあります。
「導入社数300社」「作業時間を半減」といった数値が含まれる場合は、必ず自社資料と照合し、根拠のない数値は削除しましょう。
機密情報や個人情報をプロンプトに入力してしまう
個人情報や機密情報を入力する前に、利用するAIサービスの規約、入力データの利用方法、社内ルールを確認しましょう。
必要のない情報は【A社】【担当者様】などに置き換え、入力する情報を最小限にするとリスクを抑えられます。
まとめ
営業メールはAIで下書きを作成し、人が事実確認と推敲を行うことで、作成速度と品質を両立できます。
目的を一つに絞り、相手の情報を具体的に渡し、送信前に定型句や過剰な敬語を削ることで、相手に伝わりやすい営業メールを作れます。
次回送る営業メール1通から試していきましょう。


